世の中にまだ浸透していない「住宅コンサルタント」という仕事を、どうしてやろうと思ったのか?
その理由と意義をお伝えするには、私自身の住宅業界での経験をお話しすることが近道かもしれません。
複数のハウスメーカーに在籍して分かったこと
私は今まで複数の住宅関連会社で現場監督・施工・営業の仕事をしてきました。
規模・商品・スタイル、そして家づくりの考え方が異なる住宅メーカーで働いた経験は、住宅を作る「企業による違い」を感じる上で貴重な出来事でした。
この一連の経験により住宅メーカーを俯瞰することができるようになり、良い面・悪い面、程度の判断ができるようになりました。それはつまり、内側から住宅メーカーを比較することでもありました。
家を建てる「プロセスと出来映え」が各社異なる
勤務環境の変化をいくつか経験し、それぞれの会社の考え方、仕事の進め方には大きな違いがあることに触れ、驚きと共に基準が一様ではないことに気づくようになりました。
分かりやすく言えば、ある会社では不可とされていたものが、別の会社では良しとされる、ということです。
管理基準が異なる、検査基準が異なる…。違和感を感じることもありました。
地域の工務店・ビルダーは、小規模の企業が多くあります。割安に家を建てることができる、小回りが利くといったメリットもありますが、その反面マンネリの体質や、ある種独特の社風が残っている場合もあります。
注文住宅メーカーには大きな違いがあるということ。これは一企業に居ては分からなかったことです。身に着けたのは「違いを感じる力」という財産だと思っています。
体制・システムが結果を大きく左右する
会社の体制・システムも当然各社で異なります。
何らかのミスが発生する可能性は皆無ではありません。
ミスを手前に防ぐ方法が周知・徹底されているに超したことはありませんが、もしミスが発生しても、それをリカバーする体制・システムが整っている必要があります。
個人の力量に任せきりにし、それを管理しない。管理する立場の人間を置かない。これらは体制・システムの問題です。社員一個人としてはどうしようもない部分でもあります。
システムに不具合があれば、成果物である住宅にも何らかの影響が出る可能性が高くなります。そして怖いのは、体制・システムは外部からは見えにくいということです。
ですから、注文住宅メーカーを選ぶ際にはより慎重に見極めなければならない。そう思うようになりました。
現場の仕事を経験しなければ、設計も営業もできない
現場に出ることは、住宅という建築物を知る近道です。また、現場に出ることで、自分を含め多くの施工者の本音を聞けたことも、大きな価値を持つものでした。一般的には表面化しない品質に関わる話もありました。
現場の実際が分からなければ、経済設計はできませんし、品質の確保もできません。 商品を売る・説明をするにも必要な要素です。
現場の大事さを痛切に感じたのはこれらの経験からでした。
会社ごとに対応できる範囲・できない範囲がある
営業マン時代、私は決してバリバリ契約を取るトップセールスマンではありませんでした(笑)。がつがつしたやり方は好みませんでしたので、契約者の方にはゴリ押しではなく、商品の内容と会社側の人間性に納得、安心していただいた結果だと思っています。
しかし昨今、「お客様の好みが多様化し、様々な価値観に対応しきれなくなった。」そう感じることがだんだん多くなってくるようになりました。
「どんな家でも作れます」という会社はありません。各社得意分野があります。そして、お客様はご家庭の状況やライフスタイルに応じ、様々なご要望をお持ちです。
できるだけ対応して差し上げたいが、会社の守備範囲を超えてしまっている。
「家を建てたい方は多くいらっしゃるのに、それではたまたま方向性が一致した方のお手伝いしかすることができない。」「もっと幅広く家づくりのお手伝いがしたいが、ハウスメーカーという方法では対応しきれない。」
そのことにジレンマを感じるようになっていきました。
(プロフィールにも体験談を記載しています。)
住宅業界に欠けている「家を建てる人を心理的にサポートするしくみ」
売る側と買う側の間にある溝
一方、お客様の様々な悩みも垣間見えてきました。時間が無い中で間取りと価格を検討し、ハウスメーカーを選び回答しなくてはならない状況です。
親御さんや親戚、知人に相談する方はもちろんいらっしゃいましたが、多くは自分達家族で決められる方々でした。
これからの暮らしを左右する、難しく大きな決断です。しかし分からないことだらけなのだろうと思います。早い段階で気持ちが固まる方は少数で、やはり最後まで悩む方の方が多かったような気がします。
こちらとしては安心して頂けるようできるだけの対応はするのですが、その行為が時には売るための行為に受け取られてしまう。これは普遍的な売る側と買う側の間にある溝なのかもしれません。2者間ではどうしても生まれてしまうこの溝を埋める方法はないのか、家を販売するのとは違うやり方はないのか考えるようなっていきました。
住宅業界を見渡してみれば、世の中には公共・民間を問わず第三者による相談窓口はなく、「家を建てる人を心理的にサポートするしくみ」が整っていない状況に気づかされました。
お客様のご要望に広く応えるには?
仕事として家を建てるにはどこかの会社に所属し、その会社の範囲の中で扱う商品しか、お客様に薦めることしかできません。それは商社でない限り、どの業界でも同じことです。
より多くの方の家づくりをお手伝いするために、ハウスメーカーというスタイルでない方法はないのか、模索する日々が続きました。
いつも同じことを考えていると、アイデアが降ってくることがあります。ある時、ふと思いが頭をよぎりました。
そんなスタンスで仕事がしていけたら、自分の経験と能力を生かせ、社会の為にも役に立てるのではないか? 一つの仮説が、グルグルと頭の中を思い巡るようになりました。
住宅コンサルタントの存在意義
ハウスメーカーとお施主様の間に入る
住まいは高額商品ですのでその商談は固くなりがちで、ハウスメーカーとお施主様の双方に意思疎通の壁があります。打合せの回数にも限度があることから、お互い伝えたいのに伝わらない、理解したいが理解できないという問題も出てきます。
ハウスメーカーの方にとっては
- 商品に自信があるのに良さがうまく伝わらない。
- 価格の妥当性が伝わらない。
- 会社の特徴・メリットが伝わらない。
という口惜しい気持ちが拭いきれない面があるのではないでしょうか?
一方、お施主様には
- 住宅の品質・性能はどうなのか?
- 価格は高くはないのか?
- この会社は信用できるか? 任せられるのか?
というハウスメーカーの比較・見極めに関する疑問が付きまといます。不安やストレスが、その後の家づくりの結果や思い出に悪い影響を及ぼす可能性もあります。
高額な買い物であるからこそ、相手側の言い分でない客観的な意見が求められるのではないでしょうか?
2者間ではこれらの心理的な問題が、どうしても解決できない面がありますが、中立な立場である第3者の人間の話であれば、、お互いがすんなりと納得できるものです。仲介者として間に入り双方に解説することによって、そのコミュニケーションを手助けすることができます。
住生活エージェントという存在
そんな中 「住生活エージェント(消費者エージェント)」という存在を知り、「これが自分の探していたスタイル。自分のノウハウ・経験を最大限に生かせる」と感じました。
参考サイト:消費者エージェントビジネス調査研究|経済産業省
すぐにビジネスの構想をまとめ、文章にしました。ホームページを作ることは、考えをまとめる意味でも有効な方法でした。
家を建てる人を心理的にサポートする役割を目指し、目利きとして「住宅とハウスメーカーの見極め方」をお伝えすることでお施主様の家づくりに役立つことが「ホーム・エージェント」の存在価値だと思っております。
このような思いで住まいに関する相談・コンサルティングをしております。
注文住宅メーカー選びで迷っている方、家づくりでストレス・トラブルを
抱えている方のお力にきっとなれると思います。
「家づくりのエージェント(代理人)」としてお手伝いさせていただきます。